2021/03/13 14:16
弊社の商品で海外で販売して頂いている商品があります。
海外とのやり取りで一番大変な事は、問題が発生したときに実際に現場の状況を確認できない事です。
こちらとしても、把握しないといけませんので、質問を何度かさせて頂くのですが、毎回申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
本題に入りますが、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ヨーロッパの水は硬水が多いです。
硬水とは、ミネラル成分(主にカルシウムとマグネシウム)が多い水の事を言います。
なぜ、ヨーロッパの水は硬水が多いのかと調べてみると、ミネラル成分を多く含んだ地層(石灰質)をヨーロッパ特有の地形により水がゆっくり進む事でミネラル成分が水に溶け込むようです。
日本の場合は、川自体が短く流れも速いことから、水に溶け込む前に海へ流れるようですね。
では、ケミカルの分野で硬水・軟水は、影響を与えるのでしょうか?
結論から言えば、影響を与えます。
例えば、硬水は界面活性剤いわゆる石鹸の効果を著しく低下させます。
つまり、泡立ちにくいということです。
日本で身体を洗う時に石鹸やボディーソープなどが泡立たないと洗った気がしないですよね?
https://www.kao.com/jp/qa/detail/16483/
参考資料:花王
界面活性剤は、石鹸以外にもさまざまな場面で使われるケミカル品です。
工場で言えば、鉄にドリルで穴をあける為に使用される水溶性切削液が代表的です。
鉄にドリルで穴をあける際は、どうしても摩擦力を減らす必要があります。
摩擦力を減らす為には、潤滑油のような物が必要なのですが、それを切削液と呼びます。
切削液には、油性と水溶性がありますが、油性は発火の危険性などから徐々に水溶性に変わりつつあると思います。
水溶性切削液は、名前の通り水で薄めて使用するのですが、潤滑させる為の油も入っています。
油と水が入っていると分離するのでは?と思いますが、油と水を融合させる役割が界面活性剤にあります。
上記、石鹸と水溶性切削液の事例の通り、界面活性剤の主な役割は、油を浮き上がらせる効果と油と水を融合させる効果があるのです。
この役割を持った界面活性剤が硬水により、効果を低下させてしまうわけですから、ヨーロッパの硬水が多い地域などでは、ケミカル品を硬水に合わせて作るようです。
ちなみに、硬水を軟水に変化させる事も当然できます。
簡単に言えば、ミネラル分を取ってしまえばいい話なのですが、工業系では不純物を取り軟水に変化させる為にイオン交換樹脂を使用します。
この話は、長くなりますので今度にしますが、結論としては日本の水は蛇口からの水を安心して飲める上にケミカル品との相性がいいということです。